#15 堅牢・可搬なパルスレーザー装置
~屋外でのレーザー打音検査の実現~

機関名: 量子科学技術研究開発機構 量⼦ビーム科学研究部⾨ 関西光科学研究所
担当者: 長谷川 登
連絡先: hasegawa.noboru[at]qst.go.jp 
※お問い合わせの際は、長谷川までご連絡ください。

PDF形式で閲覧する

シーズ技術・製品の概要
高いエネルギーと高繰り返し動作を実現するレーザー装置を屋外でも使用できるようにしました。構造を単純化しつつ、堅牢な光学部品を選定することで各課題を解決しています。

本テーマを始めたきっかけ、研究者の想い
本技術は、レーザー打音装置の振動励起用レーザーとして開発されました。ハンマーを用いた人の手によるトンネル検査を遠隔化・デジタル化することを想定しています。
また、本技術を通じて高強度のパルスレーザーにより高圧を発生させることができれば、レーザー打音検査だけでなく、材料の圧縮・硬化(ピーニング)用の光源として利用できると考えています。

これまでの実績・参考情報
● 特許:特願 2017-207554
● 「屋外でも使える高エネルギー・高繰り返しパルスレーザー」
  量子科学技術研究開発機構新技術説明会(2018年5月24日開催)

一般に高エネルギー&高繰り返しレーザーでは、熱影響による波面歪み(性能低下)を防ぐために、特殊な位相制御装置や冷却装置が必要です。本装置では、「複数の媒質を内蔵する小型増幅器」を開発すると共に「増幅媒質の前後に像転送光学系を導入」することで、シンプルな構成による「長距離伝搬」、「波面の歪みの補正」を可能とし、屋外でも使用可能な小型レーザーを実現しました。 Flash lamp励起 Nd:YAGレーザー 50Hz, 最大5J, 15ns レーザー増幅器 冷却水配管 像転送チューブ 発信器 70cm 180cm 下段へ供給 レーザー照射による高圧状態の生成 Ablation Shock wave Impact-Laser ○ 出力は50 Hz動作時において4 J/pulse以上。 ○ フラッシュランプ励起の採用による低コスト化。 ○ 屋外でもレーザーの使用を可能とする専用筐体。 ○ パルス幅が短く(<15 ns)、熱影響の小さい加工や表面改質(ピーニング)が可能。 ○ レーザー打音装置(NHK サイエンスゼロ等で紹介)の光源として採用。


【Tech Structure】
Tech Structureについての説明はこちら

屋外の打音検査を効率化する 屋外で使用しやすい 小型で可搬である 振動やほこりのある環境下でも使用できる メンテナンスの手間が小さい 対象に瞬間的な圧力を高速で繰り返し与える 高エネルギー・短パルスのレーザーを照射する(アブレーションによる反作用を利用する) 高繰り返し動作が可能なレーザーを照射する 熱分布による光の波面の歪みを抑制する 像を転送する レンズ間距離を調整する レーザー打音装置 振動励起用レーザー装置 専用筐体 光学部品 レンズ対

 ※1 主にトンネルの壁の検査を想定。従来のハンマーによる検査を遠隔・デジタル化するものとして期待されている。
 ※2 屋外で使用するためには構造を単純化する必要があった。
 ※3 現在は各構成品の多くが海外製。国内メーカーの協力が欲しいと考えている。
 ※4 従来は真空を用いた大掛かりな冷却や、高価な位相補正素子が用いられていた。

共同研究開発や連携に関する条件、メッセージ

今回設計・試作したものをメーカーの協力を得て、工業製品としてパッケージ化したいと考えています。

量子科学技術研究開発機構 量⼦ビーム科学研究部⾨ 関西光科学研究所 について
【組織概要】
イオン照射研究施設、電子・ガンマ線照射施設、高強度レーザ装置、中性子利用装置など多様な設備を最大限に活用し、先進的な量子ビーム利用技術により、医・理・農・工の幅広い分野で革新的成果やイノベーション創出を目指しています。
【住所】京都府木津川市梅美台8-1-7
【URL】http://www.qst.go.jp/

タイトルとURLをコピーしました