2019.02.28
プロデュース・トライアル2018
本プログラムは、主にアカデミアの方、あるいは企業の若手研究員の方を対象として、新規事業の立ち上げの「ゼロからの事業化手法」を実践的に学び、ビジネスモデル構築プロセスを体験することによって、次世代アントレプレナーを育成するプログラムです。
3部構成からなり、新規事業立ち上げプログラム「リーンローンチパッド」プログラム(全7回)をメインプログラムとして、さらに、MOT(技術経営)講座(全2回)と、起業経験者セミナー「アントレプレナー達の挑戦」(全3回)により、基礎知識のスキルとマインドの両面から、アントレプレナーとしての基礎を構築します。
また、集合研修に加えてチームでのフィールドワークとして、顧客ヒアリングなどの実践活動での仮説検証を体験することにより、より実践的に学ぶプログラムです。
「プロデュース・トライアル」は、アイデアや技術シーズをもとに、商品とそのビジネスモデルを構築するための手法を実践的に学ぶ次世代アントレプレナー育成プログラムです。今年度は、22名の学生および企業の若手技術者が参加し、6チームに分かれてそれぞれの事業テーマについてビジネスモデル創出を実施しました。
プログラムは3部構成で、①「リーンローンチパッド」プログラム、②MOT(技術経営)講座、③起業経験者セミナーからなり、各プログラムでの積極的な取組みが実施されました。
1.「リーンローンチパッド」プログラム
シリコンバレー生まれの新規事業立上げプログラムで、「デザインシンキング」、「ビジネスモデル・キャンバス」、「リーン・スタートアップ」などの体系化された事業創出手法です。ラーニング・アントレプレナーズ・ラボ株式会社の堤氏を講師に迎え、全7回で下記の内容で実施しました。
第1回:デザイン思考(アイデア出し) 第2回:ビジネスモデルの設計・検証 第3回:プロトタイピング 第4回:マネタイズの工夫 第5回:ビジネスプラン化(収益モデル設計) 第6回:スケーラビリティ設計、ピッチ手法 第7回:最終発表(Demoday) |
また集合研修に加えて、フィールドワーク活動での仮説検証を実践し、チームによっては途中でピボット(テーマ見直し)をしながらビジネスモデルをブラッシュアップすることができました。9月から翌1月までの約5ヶ月のプログラムを終え、最終発表会では、投資家の方を含めて
5名の評価委員の前で各チームが熱い思いでピッチを行いました。その結果、下記の優秀賞と特別賞が選出されました。
優秀賞:「リプフォ(LeapF)」 留学したい学生と企業とのマッチングサービス
特別賞:「にゃんきゅうサービス」 引越し時の廃棄・引取り・売買を行える大学生専用の取引サービス
2.MOT(技術経営)講座
ビジネスモデル構築にあたって補完するスキルとして、技術経営の基礎知識であるMOT講座を実施しました。特に、事業創出にとって重要なアカウンティングと経営戦略について、パナソニック株式会社 人材開発カンパニーの佐々木講師(アカウンティング)と志方講師(経営戦略)をお迎えして、講義とワークショップを実施しました。
第1回:MOTアカウンティング基礎 第2回:MOT戦略論基礎 |
MOTアカウンティング基礎 MOT戦略論基礎 |
3.起業経験者セミナー「アントレプレナー達の挑戦」
事業創出手法の知識と疑似体験を実施する中で、実際の起業経験者の方々に、自らの新規事業創出・事業展開の経験からお話をしていただき、ベンチャーマインドや顧客視点などの気付きを与えていただきました。第1回はベンチャーの発展事例として株式会社プロアシストの生駒社長、第2回は学生ベンチャーの事例として株式会社食一の田中社長、第3回は大企業社内ベンチャーの事例として株式会社ATOUNの藤本社長にお話をいただきました。
第1回:一人創業から211人の大家族へ 第2回:学生起業から早10年 第3回:パワーバリアレス社会への挑戦 |
プロアシスト 生駒社長 食一 田中社長 ATOUN 藤本社長 |
けいはんなリサーチコンプレックス事業の一環として実施しました「プロデュース・トライアル2018」で、約5ヶ月間にわたって「ゼロからの事業化手法」を学び、実際に事業化プロセスの疑似体験を実践することによって、次世代アントレプレナーとして活躍するための大きな成果が得られました。
最後に、このプログラムに参加した受講生の方々に「受講生の声」を伺いましたので、下記に掲載して本プログラムの実施レポートを締めくくります。
【受講生の声・1】
最近の経営戦略本に必ず出てくるリーンスタートアップに興味があり参加しました。
座学に加え実践する場があることで理解が深められ、リーンスタートアップの考え方が身に着いたことを実感しています。
また、受講生がグループに分かれ、全く異なるビジネスモデルを共有することで、共通する考え方と多様なモデルにおける考え方を
同時に知ることができたので、本で得られる知識以上にアハ体験(死語でしょうか。。。)ができました。
顧客インタビューの実行は一苦労でしたが、学生を含むチームメンバの頑張りで多くのインサイトを得ることができました。ありがたかったです。
本セミナーで学んだ考え方は、ベンチャー立上げだけでなく企業での新規事業創出の一つの手法として実践できると感じています。
想像以上に素晴らしいセミナーでした。
【受講生の声・2】
私のプロデュ―ス・トライアル参加理由は、起業をするためにはいったいどのようなことをすればよいのかを学びたいと感じたためです。以前より、将来、機会があれば是非起業をしてみたいとの思いがありました。しかし、実際に何かやりたいことが見つかっても、どのように動けばよいのか、皆目見当がつかない状態では、起業できるわけがないと思い、まずは起業ということそのものがどういったものであるのかを学びたいと考えていました。そして、実際にプロデュ―ス・トライアルに参加し、起業する際の基本を学ぶことができました。
起業の基本を学ぶ過程では、普段の私では進んですることがあまりなさそうなアーリーアダプター探しのインタビューなど、勇気を必要とすることも多々ありました。しかし、受講している期間においても、特に、自らの仮定だけで物事を進めるのではなく、実際に検証し、仮定と結果が一致するのかを確かめることの大切さなどを知り、その他の場面において学んだことを気が付くと実践するなど、自身の成長を感じることができました。
プロデュ―ス・トライアルのメイン目標は、起業家教育プログラム「リーンローンチパッド」を学び、実践することでしたが、私にとってはそれに加え、自ら動いて物事の確証を得ることの重要性、チーム内で得意不得意分野ごとに役割分担をし、チームでお互いをサポートし合いながら1つのものを作りあげる楽しさをも学ぶことができました。
【受講生の声・3】
受講して最もよかったと思う点は、やはり理論を実践できるという点でした。
多くの講義では、理論を学び知識を手に入れることができますが、実行して自分たちで修正していくということまではなかなかできません。
そんな中で、このリーンスタートアップの講義では講義で学んだことが自分たちのビジネスモデルではどうなっていくのかということを、実践を通して学ぶことができました。実践的に学ぶことで、起業に至るまでどれほど泥臭くやっていかなければないか、それをやり遂げるのには問題意識に対する熱量がどれほど必要かということを学ぶことができました。ビジネスを作るには何をすればよいかという大雑把な疑問に対して、精神論などの感覚的なものでなく、理論としてしっかり学べるということは大変貴重な経験でした。
思いつきでなく、モデルにそってビジネスを考えるという経験は、起業だけでなく考え方として、他のものにも活かせそうだと感じています。
【受講生の声・4】
「自分の考えたものを形にする」というのは一筋縄ではいかないため、この講座を受けたことで、アイデアを生み出す方法からそれを事業化するための方法まで自分のものにすることができました。
大変ではありましたが、フィールドワークを通じて、インタビュー技術やプレゼン技術、コミュニケーション能力など普段の大学の講義では絶対に学ぶことができないことも身につくことができ、非常に有意義な講座でした。
素晴らしい講師の方と素敵な先輩や仲間に出会えて、今後の学生生活や将来について考え直すとても良いキッカケづくりができました。ありがとうございました。
【受講生の声・5】
「ゼロイチ」を生み出すノウハウをしっかりと教えて頂きました。
この講義では新規事業の成功確率を上げる手法を約半年間みっちりとご指導して頂きました。アイデアの生み出し方、マネタイズのやり方、その他にも多くの専門的な知識・手法を教えて頂きました。そして、何よりこれらの座学を、実際に新規事業を考案するという実践を通して自身の身に染みこませて頂けたのは本当に良い機会であったと思います。
中でも、私が最も感銘を受けたのは、「Fail Fast. Fail Cheap. Fail Smart.」という考え方です。要するに、効率的に早く安く仮説を検証していくべきだ。という考え方であり、この行動を実践する事により、新規事業のリスクが減少するというものです。実際にこの考え方を実践してみると、自分達の考えとユーザーの思いが異なっている事が多々あり、試行錯誤の繰り返しでした。新規事業を立ち上げるというのは、平坦な道のりではなく試行錯誤の繰り返しであるという事を、身をもって体感しました。
結果的に私達の考案した、留学希望者と企業とをつなげるマッチングアプリ「リプフォ」は優秀賞を受賞させて頂きましたが、新規事業を生み出すことが容易でないという事が良く分かりました。しかし、その一方で新規事業を生み出す楽しさや面白さ、そしてユーザーから必要とされた時の喜びの方が大きいという事にも気づかされました。この半年間で得たことを糧に、必ず社会に貢献できるビジネスを生み出します。
最後に、この講義に携わって頂いた全ての方に感謝の気持ちをしたためさせていただきます。本当にありがとうございました。