2019.03.05
2018年度 第4回カッティングエッジ
「超快適」スマート社会の創出につながる各分野での研究内容についての講演と、ポスター発表を実施しました。今回は「深化するアルツハイマー病研究」という近年注目を集めているテーマで、基礎知識から先進的な研究内容までをわかりやすくお話をして頂きました。今回が今年度最後の「カッティングエッジ」でしたが、次年度も、アカデミア・企業を含んで様々な研究テーマを紹介いただく予定です。
【講演1】知っておきたいアルツハイマー病の基礎知識と研究の最前線
(同志社大学 宮坂 知宏 准教授)
アルツハイマー博士によって病理学的特長を見出されたアルツハイマー病は、約100年にわたって、その原因とされているアミロイドβやタウについて精力的な研究がなされてきた。その原因の同定や発症メカニズムについての研究をわかりやすく解説していただいた。また、家族性アルツハイマー病として捉えられている遺伝子による原因とリスクについても紹介いただいた。さらにアルツハイマー病の治療薬の開発の歴史と現状から、抗アミロイド療法と抗タウ療法の多角的な研究と最先端の研究についても解説いただいた。
【講演2】脳の免疫とアルツハイマー病
(京都薬科大学 高田 和幸 教授)
アミロイドβの蓄積がアルツハイマー病の主原因であるという「アミロイド仮説」にもとづき、アミロイドβの除去による疾患修飾療法(根本的療法)の研究と現状について解説いただいた。脳の免疫機能を担う「ミクログリア」に注目して、脳内にミクログリアを移植したラットの実験よりミクログリアの貧食機能によりアミロイドβが減少することを見出した。また、ミクログリアの代替となる細胞として、骨髄造血幹細胞と末梢血造血幹細胞を移植することによる根本的療法の可能性を示した。さらに、iPS細胞由来マクロファージ(ミクログリア様細胞)による治療法の可脳性についても解説いただいた。
【けいはんな研究シーズ発表会(ポスター発表交流会)】
京都薬科大学:3件、同志社大学:8件、ティ・アイ・プロス:1件、RKL:1件、ミツフジ:1件のポスター発表を実施した。今回は大学から11件の多くの発表に加えて、企業のポスター発表も3件実施し、多様なテーマについて、コーヒーブレークでのフランクな雰囲気の中でも熱心な質疑応答と議論が深められた。