2020.02.20
プロデュース・トライアル 2019 レポート
昨年度に続き、今年度で2回目の開催となる「プロデュース・トライアル 2019」を、内容をさらに充実させて実施しました。けいはんなリサーチコンプレックスの参画機関の大学・企業を対象として受講生を募集し、21名の学生および企業の若手技術者のチームで、事業テーマのアイデア出しからビジネスモデル構築まで「ゼロからの事業化手法」を実践的に学びました。
「プロデュース・トライアル」は、アイデアや技術シーズをもとに、商品とそのビジネスモデルを構築するための手法を実践的に学ぶ次世代アントレプレナー育成プログラムで、昨年度に続いて2回目の実施となります。今年度は21名の学生および企業の若手技術者が参加し、6チームに分かれてそれぞれのビジネスモデルの創出に取り組みました。
プログラムは、前回同様ラーニング・アントレプレナーズ・ラボ株式会社の堤氏を迎え、講座のメインとなる、「リーンローンチパッド」プログラムの講義に加え、講師からの起業資金支援、弁護士の先生からの起業と廃業についての法律の講義、メンター1名を配置するとともに、講座の日数を1日追加し、内容の充実を図りました。
「リーンローンチパッド」プログラムは、シリコンバレー生まれの新規事業立上げプログラムです。「デザインシンキング」、「ビジネスモデル・キャンバス」、「リーン・スタートアップ」などの形式知化・体系化された事業創出手法を取り上げ、受講生は自らの事業アイデアにそれを適用して事業化の疑似体験をしながら手法を自分のものにしていきます。受講生が講座の期間中に取り組んだ新規ビジネスのアイデアについては、最終日に実際のピッチ会を模した発表会で各グループが審査員の前で発表し、活発な質疑応答が行われました。講座修了要件を満たした21名の方に修了証を授与し、最後の表彰式では、「実際に起業に挑戦する」と宣言したグループが、講師からの起業資金支援を獲得しました。講座の各回の内容は下記のとおりです。
第1回 アイディエーション・デザイン思考 第2回 アイデア発表会 第3回 ビジネスモデルの設計・検証 第4回 プロトタイピング 第5回 マネタイズの工夫 第6回 ビジネスプラン化・収益モデル設計 第7回 スケーラビリティ設計、ピッチ準備 第8回 Demoday/最終発表会 |
講座風景1 |
講座風景2 |
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講座風景3 |
講座風景4 |
最終発表会風景1 |
最終発表会風景2 |
けいはんなリサーチコンプレックス事業の一環として実施した「プロデュース・トライアル2019」で、約3ヶ月間にわたって「ゼロからの事業化手法」を学び、実際に事業化までのプロセスを疑似体験することによって、受講生には次世代アントレプレナーとして活躍するための土台作りができたと考えます。
また、受講生からは、この講座を通じて経験した、立場や考え方も異なる様々な方々との交流も大きな刺激になり、貴重な経験になったという声も多く聞くことができました。起業する際には勿論のこと、それ以外の場面においても、今回の講座で得たものは受講生の大きな財産になると確信しています。
最後に、今回の講座に参加した受講生の方々から頂いた「受講生の声」の一部を下記に掲載します。
【受講生の声・1】
今回のプロデュース・トライアルでは、ベンチャーとして出来ていくまでの過程について学ぶことができただけでなく、グループのテーマであった行動変容という概念について学べたり、インタビューに行ったりと、貴重な体験・出会いを持つことが出来ました。
【受講生の声・2】
約3ヶ月という長いようで短いような講座を終え,本当に様々な学びや経験をさせていただきました.この講座を通して学んだことは今後の自分の人生で非常に役立つことだと思っています.私はまだ1回生で社会の事について無知な状態でしたが,この講座で色々な社会人の方や普段決して会うことの出来ないような方々と接することで,社会について少しではありますが学ぶことが出来たと思っています.最終発表ではプレゼンの仕方や発表のスライドの作り方など,参考になるものばかりでそのようなやり方があったのだと,たくさんの気付きや学びを得ました.
【受講生の声・3】
9月からの3ヶ月間、多くの貴重な経験をすることができました。堤先生による講義により、アイデアの発案からそれをどうやって収益化して、企業という形態にまで持っていくのか。このようなことを学ぶのは独学では厳しく、学内ではなかなかここまで実践的なものができるというのはなかったので、本当にありがたいと思っております。そして、このセミナーで出会うことのできた方々は、私が普通に学生生活を送っていればおそらく会うことのできなかったであろう方々であり、大変多くの、実に面白いお話を聞くことができました。この場を通じて出会えて本当に良かったと思います。
【受講生の声・4】
3ヶ月間ありがとうございました。本講義を通して、ベンチャーを立ち上げることへの恐怖が消えただけでなく、チームで目標に向かって動く難しさを考える機会をいただけました。
【受講生の声・5】
最初は起業に関して右も左もわからない状態でしたが、どのような過程でアイデアがビジネスにつながるのかを体験することができました。3ヶ月という短い期間でしたが,それが故に様々なことを前に進めていくためのスピード感を実感できました。そして,チームのメンバーのそれぞれが忙しく時間がない中でも,時間をつくりだし議論を通して試行錯誤を繰り返したことは大変でしたが、その分の達成感も感じることができました。起業という観点だけでなく様々なことにつながる知識や経験をえることができました。
【受講生の声・6】
起業にあたる”考え方”について学ぶ場だという認識で参加していましたが、発表に向けて準備を進め、結果としてサービスとして進めていけるだけのものを考えることができて大変有意義なものでした。
【受講生の声・7】
ProduceTrial2019 was a great opportunity given to me to fulfil my desire to learn professional level skills related to product innovation which leads to entrepreneurship. Attending produceTrial2019 proved an excellent platform to study the detailed theory of product innovation and practical aspects of its prototyping, development and marketing. It was a complete overview of journey from product to company along with team-work to develop a new system for the proposed idea. This course has changed my perception related to product design and transformation into a successful business venture.
【受講生の声・8】
プロデュース・トライアルでは、アイデア出しからマネタイズまでのスタートアップの過程を理論に沿って実際に経験することができる。行き当たりばったりではなく理論に沿っているので、より失敗しにくいビジネスモデルを、より速く構築する体験ができた。私たちの班はより多くの人にニーズ調査を行い、より具体的で根拠だった情報を集めることができたため、説得力があり、共感を得やすいビジネスモデルを構築することができたと感じている。人々のニーズを探り、具現化していくということはとても重要なスキルであるので起業しようと考えている人もそうでない人も参加する価値は大きいと思う。
【受講生の声・9】
この3か月間、仮設→検証→再度、仮設構築→検証、、、を何度も何度も繰り返し、自分たちのアイデアを客観的に見直すことにより、最終的なビジネスモデルを完成することができました。アイデア出しからプロトモデル構築、検証、EA探し、市場調査など、自分たちが実地で取り組んできたことは、全て講座で教えていただいたことであり、理論を実践していくということを体感できたことは何事にも代えがたい経験でした。
【受講生の声・10】
私は、これまで社外のワークショップやセミナーに何回か参加してきました。本プログラムは、その中でも最も実践的かつ、的を絞った内容だと感じました。プログラムとして良かった点は、以下5つです。
1. | ニーズの具体化に注力。 不満、不便、不足感、不誠実といったある特定の人のニッチな体験からニーズを具体化していく点 |
2. | ニーズのメカニズムを把握。 顧客の背景や現状も含めてニーズの確からしさを顧客ヒアリングを通じて論理的に構築していく点 |
3. | Minimum Viable Productのサイクル。 座学や方法を知るだけでなく、ニーズ確認の最低限の機能実装した製品や使われ方をスピーディーに確認していく点 |
4. | 投資家へのピッチ形式の最終発表。 マネタイズ、差異化ポイント、ビジネスの拡張性といったビジネス立ち上げに最低限必要な項目を構築していく点 |
5. | 人的ネットワーク。 講師の堤さん、チームメンバ、貴重な人的財産をつくることができた点 |
【受講生の声・11】
私は就活するにあたって起業についても学んでおきたいと思い参加致しました。様々な方の協力で成り立っているこのプログラムは、起業の仕方だけでなく、考え方やその度々のアプローチや弁護士さんからお話を聞くことまでできることが特徴だと思います。やってみようと少しでも思う方は是非やってみてください。自分の力の限界と知識力の少なさに驚くと思います。その中で、自分は将来どうすべきかを考える力が付くと思います。
【まとめ】
昨年度に続き、今年度で2回目の開催となる「プロデュース・トライアル2019」は、内容をさらに充実させて実施しました。けいはんなリサーチコンプレックスの参画機関の大学・企業を対象として受講生を募集し、21名の学生および企業の若手技術者のチームで、事業テーマのアイデア出しからビジネスモデル構築まで「ゼロからの事業化手法」を実践的に学び、大きな成果が得られました。今後、受講生が今回の経験を活かし、起業含め、色々な場面で活躍してくれることに期待しています。